ドローンに使用されているリポバッテリー、高性能な反面、発火のリスクがあることをご存知でしょうか?
DJI社の「インテリジェントフライトバッテリー」であれば、バッテリー管理システムが搭載されているため比較的安全です。しかし、以下のようなAmazonなどで販売されている格安ドローンのリポバッテリーの取り扱いには注意が必要です。
本記事では、リポバッテリーの注意点、保管方法、破棄方法などを解説していきます。
リポバッテリーとは
リポバッテリーとは、リチウムポリマーバッテリーのことです。
同じ重量のバッテリーの中で最もエネルギー密度が高く、大容量かつ大出力、軽量という特徴を持っています。また、自己放電が少なく、メモリー効果(充電すると容量が減る)がないのも大きな特徴です。
リポバッテリーは薄い層を組み合わせた構造をしており、その層の数によって、1セル、2セル・・・と呼びます。
1セルあたり3.7Vの電力で、小型ドローンの場合は1セルのリポバッテリー、中型ドローンの場合は4セル〜6セルのリポバッテリーを使用します。
非常に便利なバッテリーであることから、ドローンだけでなく様々な製品にも使用されています。
充電の際の注意点
過放電・過充電しない
リポバッテリーは、過放電・過充電に弱いという特徴があります。
バッテリーがお餅のように膨らんでいるのを見たことがある方も多いのではないでしょうか?
これはバッテリー内部で不具合が起きている証明にもなりますので、使用はすぐに中止してください。
そのまま使用すると、最悪の場合バッテリーが発火する可能性もあります。
ちなみに、前述の通りDJI社の「インテリジェントフライトバッテリー」は、バッテリーの管理システムが働いており、過充電・過放電を防いでくれます。
専用の充電器を使用する
リポバッテリーは、ニッケル水素バッテリー、ニッカドバッテリー、リチウムイオンバッテリーなど、様々な充電器で充電ができます。
しかし、例えばニッケル水素バッテリー用の充電器で充電してしまうと、過充電状態となり発火してしまう危険性があります。そのため、必ず専用の充電器を使用するようにしてください。
また、過充電を防ぐため、充電完了後はすぐに取り外すことを徹底してください。
フライトの際の注意点
バッテリーをギリギリまで使わない
リポバッテリーが膨らむ原因のひとつに、バッテリーの容量を使い過ぎがあります。
バッテリーをギリギリまで使用すると、放電深度が深くなります。
バッテリーのような何度も充電して使用する電池は、サイクル寿命が放電深度に強く依存しており、浅い放電深度で使用したほうが寿命が長くなります。
バッテリー残量20%〜30%程度残してフライトを終了することを心掛けてください。
バッテリー残量が表示されない場合、最初の1フライトで大まかな消費時間を把握し、今後は使い切らないように調整しましょう。
急発進・急浮上・急停止しない
バッテリーにダメージを与える要因のひとつに、急激な負荷があります。
急激な負荷には、急発進・急浮上・急停止が挙げられます。
ドローンをホバリング状態から、いきなり急発進・急上昇するのに負荷がかかることは、簡単に想像できます。
また、進行中のドローンのスティックを急に離す急停止は、一時的にプロペラの回転数を上げる必要があるため、急な負荷がかかります。
ドローンを止める際には、なるべくスティックをゆっくり戻す、バッテリーに優しい停止を心掛けましょう。
安全な保管方法
50%程度の充電状態で保管する
リポバッテリーを保管する際は、50%程度の充電状態で保管するようにしてください。
フル充電の状態だと、高い電力状態のまま化学反応を繰り返すことになり、バッテリーが劣化します。
最悪の場合、バッテリーが使用できなくなる可能性もありますので注意してください。
また、長期未使用にせず、定期的にドローンを飛ばして放電しましょう。
定期的な放電は、バッテリーの寿命を長くすることにつながります。
高温・低温・多湿の環境で保管しない
リポバッテリーは、高温・低温・多湿の環境で保管しないようにしましょう。
バッテリーは、温度が高過ぎる環境では劣化し、また温度が低過ぎる場所でもダメージを受けて劣化していきます。
なるべく適切な保管温度(22~28度)を保てる場所で保管するようにしてください。
また、湿度の高い環境でのバッテリーの保管はしないようにしてください。
最悪の場合、漏電して火災の原因になる可能性があります。
万が一に備え、リポバッテリーはセーフバッグで保管することを推奨します。
安全な破棄方法
最後に、リポバッテリーの破棄方法について解説してきます。
お餅のように膨らんだリポバッテリーは、塩水に浸けてリポバッテリーから泡が出なくなるまで放っておきます。
泡が出なくなったら、各自治体の規定に従ってリポバッテリーを破棄してください。
自治体の規定が分からなければ、連絡して確認しましょう。
間違っても、勝手に燃えないゴミなどに出してはいけません。火災の原因になる可能性があります。
また、リポバッテリーは衝撃に弱いバッテリーでもあります。
必要ないからといって、決して刃物などで傷を付けないようにしてください。この行為も発火の原因になります。
以上、リポバッテリーの注意点、保管方法、破棄方法などを解説してきました。
リポバッテリーは、非常に高性能なバッテリーですが、危険もあります。
万が一に備え、リポバッテリーはセーフバッグで保管することを推奨します。