仙台でのドローン運航管理システム「C.O.S.M.O.S.」を活用した実証実験成功 – A.L.I.

仙台でのドローン運航管理システム「C.O.S.M.O.S.」を活用した実証実験成功 – A.L.I.

2022年3月31日、株式会社A.L.I. Technologies(本社:東京都港区、代表取締役社長:片野 大輔、以下:A.L.I.)は、2022年3月に仙台BOSAI-TECHイノベーション創出促進事業である「官民共同によるドローンを活用した港湾設備などの沿革点検・監視」に採択されたことを発表しました。

点検・監視に焦点を当てた飛行計画をたて、A.L.I.で開発しているドローンの運航管理・制御システムである「C.O.S.M.O.S.(コスモス)」を実務にて活用できるかの有効性評価を、丸紅株式会社と共同で実証実験を行い、無事終了しました。

実施日時:2022年3月2日~4日
実施場所:仙台塩釜港湾事務所港湾道路

実証実験の背景(仙台BOSAI-TECHとは)

宮城県仙台市は東日本大震災で甚大な被害を受けた自治体の一つであり、その経験から防災の重要性やどう対応していくかという協議が積極的に行われています。

その防災意識の高さから、仙台市は2012年に国連防災機関によって防災ロール・モデル都市に認定されています。そのような環境の中で、防災事業を産業面から振興の推進をすべく、仙台BOSAI-TECHがスタートしました。

実証実験の詳細

今回は港湾施設の点検・監視を主題とし、ドローンからのリアルタイムな情報確認・遠隔操作を、A.L.I.の運航管理システムであるC.O.S.M.O.S.を使用して行い、運航管理システムの意義や有用性、ドローンからの映像の実用性を実証しました。

飛行は高度60mで自動飛行ルートをあらかじめ設定しました。ルート上に車両2台が絡む車両事故を模した現場を1箇所、路面に亀裂が走る1箇所を配置し、計2箇所の上空で事故の詳細を確認するために停止・高度40m付近まで下降し現場状況の確認をするという操作を行いました。自動飛行中の現場上空での停止指示と、カメラジンバルの操作はC.O.S.M.O.S.上から行っており、実践的な内容での実証と効果測定に成功しました。

結果として、事故現場を模した現場では発煙筒の煙はストリーミングされたC.O.S.M.O.S.の画面上からも確認することができました。しかし、路面の亀裂はストリーミングされてきた映像では解像度が低く、より高度を下げなければ確認できないということが今回の飛行から解り、運用方法や映像伝送のシステム面の新たな課題も明らかとなりました。

今回の主題である点検・運用の場において運航管理システムが活用できるかという点については、現場に人員を割かずともドローンの運用ができるというC.O.S.M.O.S.の利便性、監視業務だけではなく防災活動など幅広い業務に活用できる実用性を充分に理解していただき、実証実験は無事に成功しました。

C.O.S.M.O.S.とは

A.L.I.が開発した運航管理システムC.O.S.M.O.S.は、ドローンの複数台の一元管理、自動航行の設定ができます。C.O.S.M.O.S.を活用することで、現場のみならずバックオフィスからもリアルタイムで機体情報および運航状況の確認や、ドローンの飛行場所・航行ルートの指示が可能です。

また、C.O.S.M.O.S.最大の特徴として、今回の実証で行った停止操作やジンバル操作のようにシステム上からドローンの操作ができるという点が挙げられます。

この機能のおかげで、従来までは管理者はフライトの映像を見るだけで、オペレーション自体は現場で行う必要がありましたが、C.O.S.M.O.S.を活用することでバックオフィスから直接、ドローンの操作指示が可能になります。

そのため、従来の運航管理システムと同じように、異なる現場・ドローンを1システムで管理できるのはもちろん、その1つ1つに操作指示を与えられることから、指示系統の一本化や飛行にかかる人員の削減、飛行・運用の効率化を図ることができます。

今後は2030年までの中長期政策として、国土交通省がPORT2030(※1)を掲げたように、今後インフラ施設のスマート化が積極的に推進されていきます。今回の実証実験はスマートポート化を見据えた点検・監視という点から、より現実味を増す結果になりました。

A.L.I.は、C.O.S.M.O.S.を活用し、各団体の中でのドローン管理の効率化はもちろん、各種公共・インフラシステムのスマート化も積極的に推進していくとのことです。

また、レベル4(有人地帯での目視外飛行)程度の飛行やドローンの免許制などによりドローンは新たな時代に突入しようとしています。

近い未来に、日本の空にドローンがたくさん行き交う時代を見据え、その際に電車や飛行機と同じように、ドローンの運航管理・管制システムの実装・運用は今後必要不可欠なものになっていきます。

A.L.I.は空の道路公団を目指し、C.O.S.M.O.S.を筆頭に日本国内の安全かつ効率の良いドローン運用の一助となる取り組みを推進していくとのことです。

※1 2018年7月に国土交通省が公表した、2030年頃の日本における経済・産業・人々の暮らしを支えるために港湾が果たすべき役割や主要施策を掲げた中長期政策です。

お客様からの声

丸紅のコメントは以下の通りです。

「本実証実験を通じて、地方自治体の防災ニーズ及び運航管理システムC.O.S.M.O.S.の有用性を確認することができました。地区全体のレジリエンス強化には官民連携が更に重要になると想定されるため、今後は更に民間設備の点検作業も視野に入れたサービスの提案を推進してまいります。」

仙台市のコメントは以下の通りです。

「ドローン運航管理システムを用いたリアルタイム情報伝送について、様々な自治体における防災への活用可能性を検証することができました。今後もBOSAI-TECHイノベーション創出促進事業における取組みを通じて、運用上の課題や実装が求められる機能に関する検討が更に進むことを期待しております。」

出典:株式会社A.L.I. Technologies

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