総合人材サービス・パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:市村 和幸、以下:パーソルP&T)は、2023年12月に「ドローン等デジタル技術活用による空き家調査の品質向上と空き家バンク登録情報の拡充」の実証実験を実施し、成果報告をしました。
なお、実証実証は株式会社LIFULL(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:伊東 祐司、以下:LIFULL)、栃木県那須町(町長:平山 幸宏、以下:那須町)と共同で実施しました。
昨今、少子高齢化や老朽化により増える空き家の問題が深刻化しています。過去20年間で空き家が約1.9倍に増加しており、早期の所有者への働きかけや空き家バンクへの登録が有効と考えられていますが、全国の約6割の自治体はリソース不足によりそもそも空き家の調査が十分に実施できていないとされています。今回実証事業を行った那須町も同様であり、空き家バンクの登録物件も5件程度と伸び悩み、空き家のさらなる調査と所有者への働きかけが必要な状況でした。
こうした状況を踏まえ、パーソルP&Tでは、従来人力で行っている空き家調査について、水道使用量データおよびドローンを活用した新たな調査プロセスを設計し、その有用性を検証しました。実証事業は、那須町の空き家バンクに登録されている物件と特定空家物件、さらに空き家候補物件に対して、「空き家の特定」「空き家の外観調査」「空き家の利活用促進」の3つの検証ポイントに分けて2023年12月11日~22日の約2週間で実施しました。
本実証の結果、ドローンによる空き家の特定については、特定空家判断基準、空き家判断基準、利活用可否判断に有効と思われるチェックリストにおいて、それぞれ半数程度の項目について判定が可能であり、目視の一定の代替が可能といえる結果が導かれました。一方で、地上からの視点や現地でないと確認できない項目に対しては、現状では人による調査が必要と判明しました。
本実証で新たに設計した空き家調査プロセスでは、これまで実施していた、問い合わせの都度、調査員が現地を訪れ空き家調査をする方法と異なり、自治体が能動的に空き家調査を行うことが可能です。さらにドローンにより、空き家バンクに掲載する写真を撮影することで、訴求力を高め、空き家の利活用促進にも効果が期待されます。
特に、空き家候補の数が多い地域や、特定の範囲内に複数の調査対象物件が集まっているエリアではスケールメリットが期待できるため、別荘地における管理会社の空き家状況確認のニーズにも対応できます。 最終的に、空き家利活用物件の増加により、同町の目指す、関係人口や二地域居住・移住定住者の増加という リビングシフト推進にも寄与できる見込みです。
今後は、本実証で創出された調査手法の実用化に向けたブラッシュアップ、およびドローンによる外観調査を経て利活用できることがわかった空き家へのマッチング手法をあわせて検討を行います。それをまとめた、一連の空き家対策業務をパッケージモデルとして策定することで、同様の課題に取り組む他自治体への展開を図り、地域の課題解決に貢献していく予定です。また、来年度は同町でのドローン調査の本格導入を目指す方針であることを踏まえ、町職員向けのドローン導入研修を2024年3月にも実施しており、ドローン調査の自走化に向けた人材育成支援にも注力していくとのことです。