神石高原町で新スマート物流の構築に向け「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験

神石高原町で新スマート物流の構築に向け「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験

神石高原町(町長:入江 嘉則)と、セイノーホールディングス株式会社(本社:岐阜県大垣市、代表取締役社長:田口 義隆、以下:セイノーHD)、株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:田路 圭輔、以下:エアロネクスト)、株式会社NEXT DELIVERY(本社:山梨県小菅村、代表取締役:田路 圭輔、以下:NEXT DELIVERY)、KDDIスマートドローン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:博野 雅文、以下:KDDIスマートドローン)は、2023年11月17日に、神石高原町において次世代高度技術の活用により新しい物流サービスの構築を目指した「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験を実施し、報道関係者に公開しました。

具体的には、NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携して、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流(※1)SkyHub®(※2)の社会実装の検討に向けて行われたものです。

※1 新スマート物流とは、物流業界が共通に抱える人手不足、環境・エネルギー問題、DX化対応、等の課題を、デジタルやテクノロジーを活用しながら解を探究し、人々の生活に欠かせない生活基盤である物流を将来にわたって持続可能にするための官民での取り組みです。ラストワンマイルの共同配送、陸送・空送のベストミックス、貨客混載、自動化技術、等々、業界内外の壁を越えたオープンパブリックプラットフォーム( O.P.P.)による共創で実現を目指します。

※2 新スマート物流SkyHub™とは、エアロネクストとセイノーHDが共同で開発し展開する、既存の陸上輸送とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流の仕組みです。ドローン配送が組み込まれた、オープンかつ標準化したプラットフォームで、ドローンデポ™を拠点に、車とドローンを配送手段として、SkyHub™TMSをベースに、SkyHub™Delivery(買物代行)、SkyHub™Eats(フードデリバリー)、SkyHub™Medical(医薬品配送)、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送など、地域の課題やニーズに合わせたサービスを展開、提供します。SkyHub™の導入は、無人化、無在庫化を促進し、ラストワンマイルの配送効率の改善という物流面でのメリットだけでなく、新たな物流インフラの導入であり、物流2024年問題に直面する物流業界において、物流改革という側面から人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げることが可能になり、地域活性化を推進するうえでも有意義なものといえます。

また、今回の実証実験では、油木地区に仮設のドローンデポを設置し、ドローン配送を活用したお弁当配食サービスを実施します。また、防災・災害発生時に備えて町が育成したドローンパイロットとの連携を模索し、平時から活躍できる機会を創造する人材活用効率化のモデルについても合わせて検討するとのことです。

以下写真は、使用したドローンを前に左より、KDDIスマートドローンソリューションビジネス推進2部部長 森嶋俊弘、NEXT DELIVERY取締役 広瀬純也、神石高原町長 入江嘉則、特別養護老人ホーム シルトピア油木施設長 田中瑞穂、セイノーHD 事業推進部ラストワンマイル推進チーム新スマート物流推進プロジェクト課長 中矢健一郎です。

以下写真は、お弁当を配送するため着陸する物流専用ドローンAirTruck(※3)(小野社会教育施設(旧小野小))です。

※3 物流専用ドローン AirTruckとは、次世代ドローンのテクノロジースタートアップ、株式会社エアロネクストがACSLと共同開発した日本発の量産型物流専用ドローンです。エアロネクスト独自の機体構造設計技術4D GRAVITY™(※4)により安定飛行を実現。荷物を機体の理想重心付近に最適配置し、荷物水平と上入れ下置きの機構で、物流に最適なユーザビリティ、一方向前進特化・長距離飛行に必要な空力特性を備えた物流用途に特化し開発した「より速く より遠く より安定した」物流専用機です。日本各地の実装地域や実証実験で飛行し日本トップクラスの飛行実績をもちます。

※4 機体構造設計技術4D GRAVITY™とは、飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術です。エアロネクストは、この技術を特許化し4D GRAVITY™特許ポートフォリオとして管理しています。4D GRAVITY™による基本性能の向上により産業用ドローンの新たな市場、用途での利活用の可能性も広がります。

以下写真は、ドローン配送で小野社会教育施設(旧小野小)まで届けられたお弁当(小野社会教育施設(旧小野小)です。

実証実験概要

背景と目的

神石高原町では生産年齢人口の数が大幅に減少しており2015年には老年人口の数が生産年齢人口を上回る形となっています。広島県の人口の減少率が2000年~2020年の間に約5%なのに対して、神石高原町は約35%と大きく上回っています。地域における若者の流出が大きな要因となっており、「医療機関の不足」「交通の不備」「教育機関の不足」「商業施設の不足」「山間部の災害リスク」のような不便な生活環境や地域における産業の減少による雇用の減少もさらなる人口流出、少子高齢化を招いていると考えられます。

このような背景を受け、買い物に関する課題の解決をすべく、住民の理解度向上、定期飛行に向けた課題の洗い出しを目的として実証実験を実施します。

実施内容

今回の実証実験では、お弁当の配送サービスを実施、住民の理解度向上、地域課題の洗い出しを目的として、仮設のドローンデポ®(※5)とドローンスタンド®*4を設置して実施します。今回のドローン配送の実証はエアロネクストが開発した物流専用ドローンAirTruck(※6)を使用し、機体の制御には、KDDIスマートドローンが開発したモバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズ(※7)の運航管理システムを活用しました。

11月17日(金)の報道関係者への公開では、シルトピア油木から小野社会教育施設(旧小野小)までの片道約6.5㎞を約15分で、ドローン配送を実施しました。フードデリバリーを想定したお弁当を受け取った住民の方は、「短時間で届いて驚いた。お弁当は崩れていないし、温かいまま。運転免許を返納して車の運転ができなくなったら、こういうサービスは必要。ぜひ今後実用化に向けて進めて欲しい。」とコメントしています。

※5 ドローンデポ®とは、既存物流とドローン物流との接続点に設置される荷物の一時倉庫であり配送拠点です。

※6 ドローンスタンド®とは、ドローン物流の起点および終点に設置されるドローンの離発着のための設備あるいはスペースです。

※7 スマートドローンツールズとは、KDDIスマートドローン株式会社が提供する、ドローンの遠隔自律飛行に必要な基本ツールをまとめた「4G LTEパッケージ」に、利用者の利用シーンに合った「オプション」を組み合わせて利用できるサービスです。「4G LTEパッケージ」は、全国どこからでもドローンの遠隔操作・映像のリアルタイム共有を可能とする「運航管理システム」や、撮影したデータを管理する「クラウド」、データ使い放題の「モバイル通信」、どのエリアでモバイル通信を用いた目視外飛行が可能か、事前に確認できる「上空モバイル通信エリアマップ」などのツールをまとめて提供しています。

今後も地域住民への理解促進及び地域課題の解決へ向けドローンをはじめとする次世代高度技術を活用しドローン配送と陸上配送を融合した新スマート物流SkyHub®の社会実装に向けた検討を進めていくとのことです。

なお、本実証実験は一般社団法人環境普及機構により、令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)として採択されています。

出典:株式会社エアロネクスト「神石高原町で地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けた「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験を実施

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