近年、世界中でミツバチの数が減少しています。世界中の作物のおよそ3分の2は、ミツバチやその他昆虫の活動によって受粉しており、国際連合食糧農業機関もこの問題を深刻に捉えています。
この状況を受け、アメリカ合衆国メリーランド大学の研究所では、ミツバチの代わりにドローンで受粉を行う研究をしています。この研究の代表であるYiannis Aloimonos(イヤニス・アロイモノス)氏は、受粉を行う小型ドローンと複数の小型ドローンを収納する人口の蜂の巣「RoboBeeHive」を開発しています。
小型ドローンは人工知能を使用して、植物、樹木、動物などの障害物を自動で避けて植物間の花粉を運びます。また、天候の悪化を確認した場合、人口の蜂の巣である「RoboBeeHive」からメッセージが送信されます。メッセージを受け取った小型ドローンは、障害物を回避しながら自動で巣へ戻っていきます。
Aloimonos氏によると、最大の課題は手のひらサイズの小型ドローンという限られたスペースの中に、プロセッサやカメラを内蔵することだったとのことです。小型ドローンには2台のカメラが搭載されており、受粉のタスクとその他作業を分担しています。現在では、忙しく働くミツバチのように、絶え間なく働き続けることが可能になったとのことです。
Aloimonos氏と研究している大学院生Nitin Sanket(ニチン・サンケット)氏は、次のように述べています。
「人間のドローンパイロットがドローンを操縦して受粉を行うことは難しくありません。しかし、人件費や訓練が必要になります。単純に1,000機のドローンを使用するのであれば、1,000人のオペレーターが必要です。これは現実的ではありません。そこで、ここ5年程注目を集めている人工知能が登場します。可能な限り自律的に、安く、速く、効率的に作業させることを目標にソフトウェアの調整を行なっています。」
出典:UNIVERSITY OF MARYLAND「Computer Scientist Creates Hive of Ideas for Drones」
Food and Agriculture Organization of the United Nations「Declining bee populations pose threat to global food security and nutrition」