トルビズオン、西久大運輸倉庫、うきは市がワーケーション施設へドローン フードデリバリー実験

トルビズオン、西久大運輸倉庫、うきは市がワーケーション施設へドローン フードデリバリー実験

2022年11月11日、株式会社トルビズオン(本社:福岡市中央区、代表取締役:増本 衛、以下:トルビズオン)は「ドローンを活用した持続可能な地域づくり」に関する3者連携協定の関係にある、西久大運輸倉庫株式会社(本社:福岡市東区、代表取締役社⻑:伊東 健太郎、以下:西久大運輸倉庫)、福岡県うきは市(市⻑:髙⽊ 典雄)とともにドローンを用いた物資配送の実証実験を実施しました。

また、JAにじ耳納の里や地域の自治会と連携することで、住民に受け入れられるドローン空路を構築し、今後の社会実装に向けて動きはじめました。

実証実験実施の背景

福岡県うきは市では、高齢化と過疎化への対応が急務であり、高齢化率は全国平均を上回る36.2%、人口減少率はうきは市において19.1%、浮羽町では25.8%と社会課題となっています。特に、高齢化と過疎の進行によって地域における担い手不足は、社会インフラの持続性にも悪影響が出る可能性があります。

そこでトルビズオン、西久大運輸倉庫、うきは市の三者は、社会課題である少子高齢化・過疎化に対してドローン等の新しいモビリティを用いることで、買い物弱者、医療困難者等の課題解決と新産業の創出を狙います。今回はその第一弾として、フードデリバリーのドローン配送事業モデルのユースケース(過疎物流対策及び観光コンテンツの創出)を作ることを前提とした実験を企画しました。

実証実験の概要

うきは市の中心地から少し離れた屋部地蔵公園内にある「屋部山荘」を豊かな自然に囲まれた閑静なワーケーション施設と見立てました。山荘の庭にはBBQ設備が設置されており、その食材としてJAにじ耳納の里よりドローンを飛行させ地域の食材(果実、ジビエ肉)を配送しました。

飛行ルートは、地権者の承諾を得たルートで計画し、ドローンの飛行下に第三者が侵入しないよう目視人を配置したレベル2飛行にてドローンを飛行しました。また、飛行中は臨時に設置した「遠隔監視センター」からリアルタイムでドローンの位置や機体情報を配信し、関係者及び市役所職員がモニタリングできるようにしました。

  • 実施日時:2022年11月11日 13時〜15時
  • 飛行レベル:レベル2
  • 使用機体:マルチコプター型ドローン DJI製 M300 RTK
  • 搬送重量:1.5kg
  • 搬送距離:約2km
  • 実施内容:
    ドローン飛行におけるリスクアセスメント
    ドローン配送の検証(レベル2飛行)
    ドローン航行に対する社会受容確保(上空シェアサービス ソラシェア)
  • 実証実験の参加団体:
    西久大運輸倉庫株式会社、株式会社トルビズオン、うきは市、JAにじ耳納の里、株式会社ルーラルプライド

実証実験の目的

2022年末のレベル4飛行解禁を前に、西久大運輸倉庫とトルビズオンは、有人地帯におけるドローンを用いたラストワンマイル配送を社会実装していくための検討を重ねており、ドローンの飛行技術に関する研究はもちろん、飛行ルート下における土地所有者との上空飛行の交渉や、ドローンが飛行することに対する近隣住民の理解を得るための準備をしていました。

今回の実証実験は、10月21日にトルビズオン、西久大運輸倉庫、うきは市の三者で締結した「ドローンを活用した持続可能な地域づくりに関する連携協定」の第一弾であり、地域におけるドローン飛行のための合意形成をどのように進めていくべきか、うきは市との官民連携で地域活性化とドローンを用いた新産業の活用を実現することを目的としました。

関係者によるコメント

うきは市 市長 髙⽊ 典雄 氏のコメントは、以下の通りです。

「令和4年12月の航空法改正に先駆けて、うきは市と西久大運輸倉庫株式会社、株式会社トルビズオンの3者は、10月に「ドローンを活用した持続可能な地域づくりに関する連携協定」を締結しました。人口減少により労働力が不足していく地方部においてドローンを活用することにより、空路での輸送の確保や災害時の被害状況の確認のほか、将来的には買い物や移動が困難な方々に対する福祉施策にも役立つよう期待するものです。11月には福富地区の皆様にご協力いただき、ドローンを用いた物資配送の実証実験を実施しました。今後も官民連携により地域住民が安心して暮らせる地域づくりを進めてまいります。」

西久大運輸倉庫株式会社 代表取締役社⻑ 伊東 健太郎 氏のコメントは、以下の通りです。

「有人地帯での目視外飛行(レベル4)の規制が緩和されると、離島や過疎地のほか都市部でもラストワンマイル配送にドローン活用が広がる可能性があると考えています。物流業界が抱える2024年問題への対応策の一つとして、ドローン物流を事業化するため、今後、さらなる実証実験等を通じて安全対策・飛行技術・地域住民との連携・マネタイズ(収益化)手法を確立していきたいと考えています。」

JAにじ 代表理事専務 久保田 和宏 氏のコメントは、以下の通りです。

「今回、実証実験に参加することで、ドローンの技術は次世代のものではなく、既に実用的に近いところまで来ていることを感じることができました。過疎地配送は、今後の社会における課題であると同時に、台風や地震といった自然災害に対する防災という面でもドローンを活用した空の道づくりは大切で、平常時から利活用されるドローンの空の道を整備していくことを意義が理解できました。今回の実験では人による目視が必要であり、それでは社会実装は難しいと感じましたが、今後の法改正により、人がいなくても自動でドローンが配送をしてくれることは、期待をしています。農地が多い地区であることからも、今回の実証実験では地権者からの承諾を得たドローンの飛行であり、万が一の事故が起きた場合の補償があることも安心できました。」

株式会社トルビズオン 代表取締役 増本 衛 氏のコメントは、以下の通りです。

「弊社は地域にお住まいの皆様にとって安心・安全なドローン空路をデザインするプラットホーム「ソラシェア」を開発・運用しています。うきは市には町中をつなぐ水路と農地が存在しており、その上空をドローン空路として活用することで、物流をはじめさまざまな地域課題を解決する可能性を秘めています。来年は第三者上空を飛行させることができるようになるため、西久大運輸倉庫様やJA様などの地域の事業者、自治体・住民の皆様とともに、SDGsに則ったドローン活用の官民連携モデルを作っていきます。」

今後の展望

2022年度に予定している有人地帯での目視外飛行(レベル4)の実施に向けた航空法改正を見据えて、JAにじをはじめ地域のその他事業者とも連携の上、うきは市での採れたて農産物やテイクアウトのドローン配送による労働負荷の軽減、災害時の物資支援、また、ドローンによる災害現場や有害鳥獣の被害状況確認等への活用、町が抱える課題を官民連携により解決していくとのことです。

事業モデルも軽輸送とドローン配送を組み合わせたハイブリッド型の過疎地配送などへ進化させ、大都市圏までをドローン配送で繋ぐ長距離輸送を今後の航空法改正に合わせ検討、実施を進めていく予定とのことです。

出典:株式会社トルビズオン

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