株式会社NEXT DELIVERY (本社:山梨県小菅村、代表取締役:田路圭輔、以下:NEXT DELIVERY)、キヤノンマーケティングジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:足立正親、以下:キヤノンマーケティングジャパン)、セイノーホールディングス株式会社(本社:岐阜県大垣市、代表取締役社長:田口 義隆、以下:セイノーHD)、株式会社電通西日本(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:川口 真義、以下:電通西日本)は、環境省委託事業「運輸部門の脱炭素化に向けた次世代型物流促進事業(脱炭素化を加速させる新スマート物流に関する実証)」において、物流専用ドローンを活用した「物流の効率化、および買い物困難者問題」解決に向けた共同配送実証実験を、2025年2月6日に香川県東かがわ市で行い、報道関係者へ公開しました。
本実証は、セイノーHDとNEXT DELIVERYの親会社である株式会社エアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流(※1)SkyHub®(※2)の技術を活用し、社会実装に向けた課題発見のために実施したもので、ドローン配送サービス事業を主体とするNEXT DELIVERYが行いました。
※1 新スマート物流とは、物流業界が共通に抱える人手不足、環境・エネルギー問題、DX化対応、等の課題を、デジタルやテクノロジーを活用しながら解を探究し、人々の生活に欠かせない生活基盤である物流を将来にわたって持続可能にするための官民での取り組みです。ラストワンマイルの共同配送、陸送・空送のベストミックス、貨客混載、自動化技術、等々、業界内外の壁を越えたオープンパブリックプラットフォーム( O.P.P.)による共創で実現を目指します。
※2 新スマート物流SkyHub®︎とは、エアロネクストとセイノーHDが共同で開発し展開する、既存の陸上輸送とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流の仕組みです。ドローン配送が組み込まれた、オープンかつ標準化したプラットフォームで、ドローンデポ®︎を拠点に、車とドローンを配送手段として、SkyHub®︎TMSをベースに、SkyHub®︎Delivery(買物代行)、SkyHub®︎Eats(フードデリバリー)、SkyHub®Medical(医薬品配送)、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送など、地域の課題やニーズに合わせたサービスを展開、提供します。
SkyHub®︎の導入は、無人化、無在庫化を促進し、ラストワンマイルの配送効率の改善という物流面でのメリットだけでなく、新たな物流インフラの導入であり、物流2024年問題に直面する物流業界において、物流改革という側面から人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げることが可能になり、地域活性化を推進するうえでも有意義なものといえます。
以下写真は、左端から株式会社NEXT DELIVERY 近藤部長代理、セイノーホールディングス株式会社 和田課長、東かがわ市市役所 元網課長、キヤノンマーケティングジャパン株式会社 水谷担当本部長、株式会社電通西日本 井ノ部部長です。

今回の実証実験は、東かがわ市福栄コミュニティセンターに集約した荷物を、ドローンにて同市五名コミュニティセンターまで運び、社会実装に向けた効率性の検証を行うとともに、フェーズフリーの考え方に基づき、平時と災害時の垣根なく運用するためのデータを収集することを目的として実施しました。

実証実験概要
背景と目的
東かがわ市の人口は昭和40年以降減少を続けており、「東かがわ市人口ビジョン」によると令和27年には、市の人口は1万6千人程度まで減少すると予想されています。人口減少の要因は、若者世代を中心とする社会減少と、それに伴う自然減少・少子化だと分析されています。今後、少子高齢化がますます進行していく見通しの中、高齢者の住み良いまちを構築するためには、日常の買い物など生活利便性の維持が求められています。また、今回の実証エリアである五名地区は、平成16年の台風災害によって孤立するなど、災害時の物流網維持が課題となってきました。
一方で、運送業界においては、人手不足や採算性から特に過疎地域における配送維持が課題として顕在化しています。また、過疎地での積載率は低位にとどまっており、従来の配送手段は環境面からも大きな問題を抱えています。
そこで、東かがわ市において、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結、融合する新スマート物流システムの構築により、物流の最適化を目指します。具体的には、買い物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みづくりにむけて、民間企業と行政が協働して取り組みます。
実施内容
本実証では、物流事業者などの事業環境が大きく変わる中で、物を運ぶだけでなく、買い物難民の解消や公共交通の維持など地域課題解決を図ることができるように、物流網の再構築を目指します。今回は「共同配送」をテーマとして、福栄地区で荷物の集約拠点が機能しているという想定で、栄コミュニティセンターに設置した仮設ドローンデポ(※3)へ陸送で物資を集約し、五名コミュニティセンターまでドローンを利用して配送を実施いたしました。今回のドローン配送の実証はエアロネクストが開発をした物流専用ドローンAirTruck(※4)を用いています。
※3 ドローンデポとは、新スマート物流において、既存の陸上物流とドローン物流との接続点に設置される荷物の集積・配送の拠点であり倉庫で、荷物をドローン配送できる仕組みを持つ場所です。
※4 物流専用ドローンAirTruckとは、次世代ドローンのテクノロジースタートアップ、株式会社エアロネクストがACSLと共同開発した日本発の量産型物流専用ドローンです。エアロネクスト独自の機体構造設計技術4D GRAVITY®(※5)により安定飛行を実現します。荷物を機体の理想重心付近に最適配置し、荷物水平と上入れ下置きの機構で、物流に最適なユーザビリティ、一方向前進特化・長距離飛行に必要な空力特性を備えた物流用途に特化し開発した「より速く より遠く より安定した」物流専用機です。日本では各地の実証地域や実証実験で飛行しトップクラスの飛行実績をもち、海外ではモンゴルで標高1300m、外気温-15℃という環境下の飛行実績があります(2023年11月)。最大飛行距離20km、ペイロード(最大可搬重量)5kg。
※5 機体構造設計技術4D GRAVITY® とは、飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術です。エアロネクストは、この技術を特許化し4D GRAVITY®特許ポートフォリオとして管理している。4D GRAVITY®による基本性能の向上により産業用ドローンの新たな市場、用途での利活用の可能性も広がります。
2月6日の報道関係者への公開では、福栄コミュニティセンターから五名コミュニティセンターまで片道約7kmをドローンで配送しました。約17分で飛行し、五名地区の住民に荷物と医薬品(ダミー)をお届けしました。ドローンが空から降りて来て、届けられた荷物を受け取った住民の方は、「災害などが起こった際はドローンを利活用していただきたい。将来的にはもっと大きく重いものも運んでほしい」とコメントしています。
今後も地域住民への理解促進及び地域課題の解決へ向けドローンをはじめとする次世代高度技術を活用しドローン配送と陸上配送を融合した新スマート物流”SkyHub®“の社会実装に向けた検討を進めます。