2025年1月30日、大分県(知事:佐藤 樹一郎)と、宇佐市(市長:是永 修治)、株式会社NEXT DELIVERY(本社:山梨県小菅村、代表取締役:田路 圭輔、以下:NEXT DELIVERY)、株式会社中津急行(本社:大分県中津市、代表取締役社長:仲 浩、以下:中津急行)、株式会社ノーベル(本社:大分県日田市、代表取締役:野元 孝通、以下:ノーベル)、セイノーホールディングス株式会社(本社:岐阜県大垣市、代表取締役社長:田口 義隆、以下:セイノーHD)、株式会社ネオマルス(本社:大分県大分市、代表取締役:甲斐 武彦、以下:ネオマルス)、株式会社電通九州(本社:福岡県福岡市、代表取締役兼社長執行役員:谷口 順一、以下:電通九州)は、宇佐市において、少子高齢化や人口減少、物流2024年問題などの社会課題の解決に向け、複数の荷主の商品を積み合わせて、同じ納品先に配送する「共同配送」と、迅速な配送やコスト削減が期待される「ドローン物流」を組み合わせた『新スマート物流SkyHub®︎(スカイハブ)』(※1)の実証実験を報道関係者に公開しました。
※1 新スマート物流SkyHub®︎(スカイハブ)とは、エアロネクストとセイノーHDが共同で開発し展開する、既存の陸上輸送とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流の仕組みです。ドローン配送が組み込まれた、オープンかつ標準化したプラットフォームで、ドローンデポ®︎を拠点に、車とドローンを配送手段として、SkyHub®︎TMSをベースに、SkyHub®︎Delivery(買物代行)、SkyHub®︎Eats(フードデリバリー)、SkyHub®Medical(医薬品配送)、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送など、地域の課題やニーズに合わせたサービスを展開、提供します。
SkyHub®︎の導入は、無人化、無在庫化を促進し、ラストワンマイルの配送効率の改善という物流面でのメリットだけでなく、新たな物流インフラの導入であり、物流2024年問題に直面する物流業界において、物流改革という側面から人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を向上させることが可能になり、地域活性化を推進するうえでも有意義なものといえます。
具体的には、NEXT DELIVERYと地域の物流事業者である中津急行が主体となり、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流”SkyHub®“の地域実装の検討に向けて行われたものです。
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実証実験概要
背景と目的
本県では、これまで離島・中山間地域、災害の多い地域、観光資源を有する場所など、様々なフィールドで実証してきたが、ドローン物流は機体費用をはじめドローンオペレーター等の人件費といった運航コストが高く、収益性を確保するのが難しいため、採算性に関する課題が浮き彫りになりました。そこで国は、ドローン物流の実装が進まない現状を踏まえ、昨年2023年12月にレベル3.5飛行制度を創設し、ドローンの配送の事業化を促進するための規制緩和を実施しました。国の方針を踏まえつつ、ドローン物流を地域実装するためには、様々な企業・団体が連携し、上記の規制緩和を活用した「経費抑制」または「収入増加」による採算性を確保しつつ、地域の事業者が担い手となり、災害時の迅速な対応と通常時の運用を両立できる、具体的かつ継続的なビジネスモデルに基づいた地域実装体制を構築していく必要があります。
加えて、これまで個別に配送していた複数の物流企業が、トラックやコンテナなどを共同化し、配送する、荷物をまとめて積合せて配送する「共同配送」も同時に行うことで、複数の企業が協力して物流コストを削減し、配送効率を向上させることも目的としています。
本事業では、県内をフィールドとして、複数の荷主の商品を集約させる、その「共同配送」と、迅速な配送でコストや、温室効果ガスの削減も期待される「ドローン物流」を組み合わせることで、人口減少対策や物流網維持、災害への備えといった地域における課題の解決に資するとともに、地域特性を生かした持続可能なドローン物流の地域実装体制を構築・検証することを目的に実施しています。
実施内容
今回の実証実験では、届け先が配達困難地域、且つ災害時孤立可能性がある地域を想定し、平時の運用が災害時での迅速な物資輸送に繋がるという文脈で実施しています。なお、実施期間は2025年1月20日(月)から3月14日(金)までの約2か月間を予定しており、天候等の影響がなければ1日2便のドローン飛行を行っています。また機体は、株式会社エアロネクスト(以下 エアロネクスト)が開発した物流専用ドローンAirTruck(エアトラック)(※2)を使用しており、県外の複数の地域で実際のサービスとしてすでに活用されているものです。
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※2 物流専用ドローン AirTruckとは、次世代ドローンのテクノロジースタートアップ、株式会社エアロネクストが株式会社ACSLと共同開発した日本発の量産型物流専用ドローンです。エアロネクスト独自の機体構造設計技術4D GRAVITY®(※3)により安定飛行を実現。荷物を機体の理想重心付近に最適配置し、荷物水平と上入れ下置きの機構で、物流に最適なユーザビリティ、一方向前進特化・長距離飛行に必要な空力特性を備えた物流用途に特化し開発した「より速く より遠く より安定した」物流専用機です。日本では各地の実証地域や実証実験で飛行しトップクラスの飛行実績をもち、海外ではモンゴルで標高1300m、外気温-15℃という環境下の飛行実績をもちます(2023年11月)。なお、最大飛行距は20km、ペイロード(最大可搬重量)は5kgです。
※3 機体構造設計技術4D GRAVITY®とは、飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術です。エアロネクストは、この技術を特許化し4D GRAVITY®特許ポートフォリオとして管理している。4D GRAVITY®による基本性能の向上により産業用ドローンの新たな市場、用途での利活用の可能性も広がります。
同年1月30日(木)の報道関係者への公開では、家族旅行村「安心院」から深見地区の個人宅までの片道約5.8㎞・約13分を、荷物を搭載しドローン配送いたしました。荷物をドローンで受け取った地域住民の方は、「高齢者ですから、車を運転するのが心配。こうしてドローンで届けて頂くと出掛けなくて済むから助かる。ドローンなんて想像できない世界だから楽しみ。」とコメントしています。
実証実験による効果
● 既存の陸上物流とドローン物流との接続点に設置される荷物の集積・配送を行う拠点となる、ドローンデポを家族旅行村「安心院」に設置し、共同配送やドローン配送のオペレーションを含めたその有効性について確認できています。
●飛行ルート上の電波状況については途切れることなく、機体カメラによる歩行者等の視認もしっかりと確認でき、運航上の問題は生じていないことから、実装を見据えた運航が可能であることが確認できています。
●天候等の影響が少なかったことから、2025年2月7日(金)時点でドローンの飛行回数は10回に上っており、利用者への十分なサービス提供を行うとともに、ドローン配送への認知度向上につながっています。
●中津急行を主体とした地域特性を生かした持続可能なドローン物流の地域実装体制を構築・検証することができています。
今後も地域住民への理解促進及び地域課題の解決へ向けドローンをはじめとする次世代高度技術を活用しドローン配送と陸上輸送を併用した新スマート物流”SkyHub®“の社会実装に向けた検討を進めます。
※本実証実験は、大分県から公募された「令和6年度ドローン物流地域実装体制構築事業委託業務」として採択されたものです。