消防団員数は年々減少傾向にある一方で風水害などの災害が多発化・激甚化するなか、消防団に求められる役割は多様化・複雑化しています。消防団が持つ機動力を活かし情報収集部隊を設置し、広範囲の火災などドローンによる上空からの災害情報をいち早く収集し、すでに運用を開始している常備消防と連携し、必要資機材の準備と災害対策をとり、災害の早期収束を目指すものです。奈良県内の消防団では初めて実施します。
トピックス
- 消防団員数は年々減少し、1990年では100万人いた団員が、2022年では約78万人まで減少。奈良市でも条例定数1030人に対し949人と減少傾向。消防団員の減少は地域防災力の低下につながる懸念がある。
- 奈良市消防団はこのような社会情勢に合わせた臨機応変な消防団となるべく、新たな取り組みとしてドローンによる情報収集部隊を創設し、令和5年4月1日より運用開始。
- 2021年12月末時点で全国で2,198消防団のうち40団体に60機が導入されているが、奈良県では初の事業。
- 当事業は全額国費で実施(消防庁の「消防団の力向上モデル事業」)。
- 山間部や過疎地域等、消防隊の現場到着までに時間がかかる地域で活躍。
- 消防団が新たな取り組みを行っていることを市民の皆様にも知っていただき、団員の入団促進にもつなげる。
1 部隊名・規模
「奈良市消防団情報収集部隊」
2 日時
部隊創設:令和5年2月15日(屋外訓練飛行等を開始した日)
運用開始:令和5年4月1日
3 出動範囲・配置場所
奈良市内全域とし、他都市よりの要請があれば状況により出動。
ドローン配置場所:奈良市消防局総務課・奈良市東消防署
4 実施主体
奈良市消防団(責任者 消防団長 中室貞浩)
5 想定される出動事案
春日原生林等での加点確認が困難な立ち木火災や広範囲に及ぶ雑草火災、土砂災害における崩落個所の確認、河川氾濫などの被害状況確認など、上空からの確認により効果的に災害情報が取得できる事案。
6 内容
部隊の体制
- 部隊長 副部隊長 及び2班10名体制(1班5名)
- 1班に4名のドローン操縦士を配置。
- 操縦士は無人航空機技能認定講習を受け、飛行に関する知識や技能を習得
- 市内2か所に各1基のドローンを配置。GPS受信機能、障害物回避機能、映像撮影機能を備えている。
ドローンの飛行
- 従来は災害状況を団員が現地で目視により確認していたが、二次災害 の防止を念頭に置き、上空より状況を確認。必要な情報を団員が本部へ報告し、必要資機材の準備や出動体制などの参考とする。
- 災害時のドローン飛行は航空法により特例が認められており、許可無しで飛行可(後日報告)。
通常時の活動
- すでに定期訓練を実施し安全飛行を最優先とし、技術向上に努めている。
- 今後は自主防災防犯訓練等にも参加し、消防団と地域が一体となり地域防災力の向上を目指す。また、防災訓練等に参加することで、市民に対し新たな取り組みを行っていることを理解してもらい、入団促進につなげる。
7 決算額
1,822千円(全額国費)
機体購入費、無人航空機操縦資格講習費用等全額
8 奈良市消防団の概要
奈良市消防団の歩み
- 昭和23年4月自治体消防制度とともに5分団181名で発足
- 平成21年4月、女性消防団員で組織する「広報指導分団」発足
- 令和2年4月、大学生や専門学生等で構成する、奈良市消防団で初の機 能別消防団員である「学生消防分団」を発足。1本部4方面隊(中部・南部・西部・東部)23分団という新体制となる。
奈良市消防団の現組織と定数・実員
- 消防団長を筆頭に1本部4方面隊22消防分団と学生消防分団で組織
- 現時点では条例定数1030人に対し949人(うち学生消防分団は12人)。
※条例定数は、令和5年度より「地域支援分団」を新たに追加することから1,230人。
令和5年度の新たな取り組み
- 機能別消防団として昼間のみ消防団活動をする「地域支援分団(200人)」を新たに設置
- 地域の店舗等にご協力頂き「消防団応援の店」制度を実施。登録施設を利用した消防団員に一定の特典を提供していただき、地域ぐるみで奈良市消防団員を応援する。
上記のほか、奈良市消防団では活性化検討委員会を設置し、これからの消防団について日々検討しているとのことです。