2023年4月4日、自社開発の国産産業用ドローンとクラウドサービスを通じてさまざまなソリューションを提供するエアロセンス株式会社(所在地:東京都文京区、代表取締役社長:佐部 浩太郎、以下:エアロセンス)は、3月上旬、栃木県栃木市の栃木ヶ丘ゴルフ倶楽部で、ローカル5Gを活用したドローンによるソリューションを提供し、その有用性を実証する実証実験でドローン機体の運航を担い、ドローンによるコース巡回の空撮時に4K映像のリアルタイム伝送に成功したことを発表しました。
実証実験は、総務省の2022年度「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」(代表機関:株式会社地域ワイヤレスジャパン)に選定された事業の一環として実施され、ゴルフ場へのサービス提供企業であるケーブルテレビ株式会社をはじめとする、ソリューション提供企業やローカル5G機器提供企業、技術実証実施企業を交えたコンソーシアムを形成したプロジェクトで、地域の企業が主体となりローカル5Gを活用し地域産業の活性化を図ることを目的としています。
実証実験の背景と目的
ゴルフ市場の規模は1990年以降から縮小傾向となっており、更に、ゴルフ参加人口は団塊世代を中心とした年代の割合が多く、団塊世代の高齢化に伴うゴルフリタイアは今後本格化すると予想され、2020年代中の市場縮小の加速が懸念されています。労働人口の減少によりゴルフ場においても働く人の高齢化や、若手人材の採用が困難になるなか、ドローンを活用しゴルフ場で勤務する従業員の高齢化や人手不足解消を検証するものです。
実証実験の内容および特徴
芝管理の業務負荷の軽減のため、ドローンによるコース巡回と芝の育成状態管理
ゴルフ場では、プレイヤーのコース上での落とし物や忘れ物が多く、従業員がそれらを探す負担が大きいことが課題だったことから、その負担軽減のため落とし物・忘れ物の有無の確認を主な目的としてドローンの空撮で数コースを巡回。飛行中、上空でのLTE回線では4K映像の伝送は帯域不足により不可である状況下、ローカル5Gを活用することで空撮中の4K映像をリアルタイムで伝送し、1コース平均2分前後、全18コースを30分程で巡回が可能であることを確認しました。従来の目視巡回では、昨今の人手不足によりゴルフ場の営業前に30分程度で3コース程度の実施のみであった業務の大幅な改善につながることも確認されました。
また、多波長カメラによる芝の育成状況の自動可視化を実現し、今後の育成状況自動判定による業務負荷軽減につながることが判明しました。
今回の実証実験においてはドローン飛行中に高速ローカル5Gに加え、バックアップ用のLTE回線、 予備の2.4GHz直接通信の3回線同時並列で通信の安定性を確保し、コーデックによる圧縮で映像を最適化させることで空撮中の4K映像のリアルタイム伝送に成功しました。
その他にも、飛行中に撮影した画像をエアロセンスの画像解析処理クラウドサービスの「エアロボクラウド」にアップロードし自動的に処理を完了させるなど、エアロセンスの技術力を結晶させた実証実験となりました。
ドローン巡回中のリアルタイム伝送画像
ドローンによる芝育成状況可視化解析結果の画像(左)ドローンに装着した多周波カメラ(右)
今回の実証実験の結果を踏まえ今後コンソーシアムは、ローカル5G活用しドローンに搭載した高精細カメラによるコース巡回/芝の育成状態管理やドローンによる配送およびウェアラブルカメラによるプレイ動画撮影/提供や遠隔レッスンを行うことで、ゴルフ場の業務効率化・新規プレイヤーの獲得・付加サービスを提供する検討を進め、ゴルフ市場の活性化支援を進める予定です。
エアロセンスはこれまで環境省や国土交通省等が実施するさまざまな実証実験に協力した実績を持ち、2023年1月には東京23区の人口密集地(DID)での実証実験にも活用されるなど、その高い機体性能や信頼性が認められています。2022年12月、改正航空法が施行され有人地帯で目視外飛行が可能となるレベル4の解禁に伴い、機体性能の向上と販促の強化を図り社会に普及させることで、ドローンの社会実装の可能性を拡大させていくとのことです。
出典:エアロセンス株式会社「エアロセンス、ローカル5Gを活用したドローンによるコース運営の効率化を 図る目的の実証実験で、4K映像のリアルタイム伝送に成功」