2023年1月30日、株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:田路 圭輔、以下:エアロネクスト)は、秩父市、株式会社ゼンリン(以下:ゼンリン)、KDDI株式会社(以下:KDDI)、KDDIスマートドローン株式会社(以下:KDDIスマートドローン)が、生活協同組合コープみらい(以下:コープみらい)、株式会社ちちぶ観光機構(以下:ちちぶ観光機構)、ウエルシア薬局株式会社(以下:ウエルシア)らとともに実施する、2023年1月26日から開始の土砂崩落の影響が続く秩父市中津川地内でのドローンによる物資の定期配送(以下:本取り組み)に参加することを発表しました。
本取り組みは、2022年9月に土砂崩落が発生し、物流が寸断された秩父市中津川地内の地域住民への冬季期間の生活支援を目的としています。2022年10月25日に秩父市とゼンリンが締結した「緊急物資輸送に関する連携協定」をもとに、賛同企業6社が加わり「&(アンド)プロジェクト」として連携・実施します。
ドローン定期配送の実現により、中津川地内へ食品や日用品、医薬品などを短時間で配送することが可能となります。
以下画像は、ドローン定期配送の概要図です。
現在、ドローンによる物資の配送先となる中津川地内へアクセスするには、一部の緊急車両などの通行のみ許可されている森林管理道金山志賀坂線を通行する必要がありますが、冬季は降雪や凍結のため通行が非常に困難となります。また、当該地域の地形の特性上、モバイル通信が不安定な環境であるため、衛星ブロードバンドサービス「Starlink」を活用してauのモバイル通信環境を確保し、ドローンの遠隔自律飛行による物資の配送を実施します。食品や日用品など最大約5kgの物資をドローンで複数回配送し、中津川地内の住民のみなさまの冬季期間の暮らしに貢献します。
なお、ドローンの運航は、エアロネクストの子会社株式会社NEXT DELIVERY(本社:山梨県小菅村、代表取締役:田路 圭輔、以下:NEXT DELIVERY)が実施します。
以下画像は、通行止めの崩落トンネル手前で離陸直前のエアロネクストの物流専用ドローンAirTruckです。
以下画像は、お弁当や新聞の入った箱をドローンに取り付けるスタッフの様子です。
以下画像は、崩落現場上空を飛行し食品等を運ぶエアロネクストの物流専用ドローンAirTruck(右上の白い機体)の様子です。
ドローン定期配送の概要
実施日 | 2023年1月26日(木)~3月末日まで ※1週間に1回(木曜日)のドローン配送。 |
実施エリア | 埼玉県秩父市中津川地内 |
取扱商品 | 食品、飲料、生活雑貨、医薬品など |
使用機体 | AirTruck ※エアロネクストと株式会社ACSL(以下:ACSL)が共同開発した物流専用ドローン |
関係者・体制図
全国各地でドローン物流の実証・サービス実装を行うゼンリンが、プロジェクトの全体統括を担当し、技術面・配送面のノウハウを持つ各社と共に、体制を構築しました。
配送フロー
- 住民は、電話などで事前に商品を注文。
- コープみらい・ウエルシア秩父影森店、ファミリーマート道の駅大滝温泉店が、注文商品をピックアップ。
- 各社トラックで道の駅大滝温泉まで配送。
- ちちぶ観光機構が、各社の注文品を個人ボックスごとに箱詰め。
- 注文商品をドローン離陸地点まで配送。
- 注文商品をドローンで配送。
- 中津川地内の区長が注文商品を受け取り、各世帯まで商品を配送。
「&プロジェクト」の命名に込めた想い
プロジェクト名には、決して(A)あきらめずに、(N)中津川地内の(D)ドローン配送の実現を推進し、住民生活の安全・安心の確保を支援し、地域の安堵(AND)に貢献する”という想いを込めています。今回、このビジョンに賛同する8者が連携し取り組みをスタートすることになりました。
以下画像は、2023年1月26日に実施した記者発表会の様子です。
Starlinkを活用したモバイル通信とドローン配送のシステム構成
中津川地内のドローン離発着地点には、操作者などの作業者を配置できず、また、崩落地手前の地点からは中津川地内の離発着地点を目視で確認することが出来ません。そのため、中津川地内までの飛行、機体の離発着、荷下ろしのすべてを遠隔操作で実施する必要があります。そこで、本取り組みでは、以下の製品・サービスを組み合わせたシステムの構築を行いました。
以下画像は、システム構成のイメージです。
- Starlinkの活用
衛星ブロードバンドの「Starlink」を活用した、「どこでも、素早く、広い範囲」にauエリアを構築するソリューション「Satellite Mobile Link」により、映像を用いたドローンの遠隔制御も可能にするauのモバイル通信環境を確保しました。 - スマートドローンツールズとAirTruckの活用
「スマートドローンツールズ」の運航管理システムと物流専用ドローン「AirTruck」を組み合わせることにより、遠隔制御による機体の飛行、離発着、荷下ろしを可能としました。
- スマートドローンツールズ
KDDIスマートドローンが開発した、ドローンの遠隔制御や自律飛行、映像のリアルタイム共有を可能とするシステム。 - 物流専用ドローン AirTruck
エアロネクストがACSLと共同開発し、ペイロード5kgに対応した日本発の量産型物流専用ドローンです。物流用途に特化してゼロから開発した「より速く、より遠く、より安定した」機体です。エアロネクストの空力特性を最適化する独自の機体構造設計技術4D GRAVITY®︎により、荷物の揺れを抑え安定した飛行を実現しました。遠隔操作による荷物の切り離し、荷物の上入れ下置きの機構など、オペレーション性にも優れます。。日本経済新聞社主催の「2022年日経優秀製品・サービス賞 最優秀賞」を受賞しました。
以下画像は、本取り組みに使用される日本発物流専用ドローンAirTruckの様子です。
以下画像は、秩父市中津川地内で食品や新聞を配送する物流専用ドローンAirTruckの様子です。
以下画像は、ドローン配送した中津川地区の住民が注文した食品や新聞の様子です。
今後の展望
通信不感地域におけるドローン定期配送の運用ノウハウを蓄積し、中山間地域や災害時などの通信環境が不安定な状況においても、ドローン配送を実現可能とするソリューション構築を検討していきます。
これにより、全国の様々な地域・環境下でのドローン配送の社会実装を目指していくとのことです。
出典:株式会社エアロネクスト「エアロネクスト、土砂崩落の影響が続く秩父市中津川地内の生活支援を目的としたStarlinkを活用したドローン定期配送プロジェクトに参加~地域が“安堵”できる環境構築に向け8者が協力、「&プロジェクト」としてスタート~」