ドローンスクール数の推移の最新調査結果が発表!年数百のペースの増加が続く

ドローンスクール数の推移の最新調査結果が発表!年数百のペースの増加が続く

2022年11月24日、株式会社ルーシー(本社:東京都港区、代表者:丸山 勲)が運営するドローン情報メディア「ドローンナビゲーター」では、2022年12月5日のドローン操縦ライセンス制度開始が目前に控えていることを受け、全国のドローン講習団体(無人航空機の操縦者に対する講習等を実施する団体として国土交通省に登録された機関)の数の推移やその内訳について調査・分析し、発表しました。

【サマリー】

  • 2017年から現在まで全国のドローン講習団体(※1)数は大きく増加が続く。操縦ライセンスの国家資格化を見据えた新規参入も
  • 講習団体を管理する管理団体(※2)は全部で90団体ある一方、上位6団体に属する講習団体が全体の過半数を占める。
  • 直近2年間で登録が増えた講習団体の数は650団体(※3)。講習団体最多の管理団体はDJI JAPAN系列

※1 講習団体とは、現在のドローン民間資格制度において国土交通省が定める基準を満たす、ドローン講習を行う団体のことです。
※2 管理団体とは、国土交通省が定める基準を満たす、講習団体を管理する団体です。
※3 年ごとの増加数を算出するため、1つの講習団体に複数の管理団体が紐づいている一部のケースは、それぞれを別の講習団体としてカウントします。

【調査方法】

増加し続ける講習団体

航空局に「講習団体」として認定・登録された機関の数は、年によってバラつきはあるものの、毎年相当数の新規登録(年によって100〜400件程度)が続いています。

講習機関の中には、広く一般の生徒を受け入れるドローンスクールとしてではなく、対象を社員や関係者に限定したクローズド機関として運営されている講習団体も数値には含まれていますが、いずれにしても増加傾向は明らかです。現行制度では、講習団体での講習を修了すると一定の技能が担保されるとして、修了者が国土交通省へドローン飛行申請を行う際の審査が簡略化されます。

この講習団体数の継続的な増加は、ドローン業界の市場拡大に伴う講習ニーズの増大を反映していると言えます。

また、ドローン情報メディアとしてドローンスクールの運営者と頻繁に接触する中で、2022年12月5日に迫るドローン操縦ライセンスの国家資格化を見据え新規参入したという話も頻繁に聞かれます。

このように、2022年12月5日から開始される航空法改正を皮切りにドローンの利活用がいよいよ本格化すると予想される中、それに向け講習機関が年々増え続けているという状況が見てとれます。

なお、令和元年は「農林水産協会」と「DJI JAPAN」という大手2団体が大きく講習機関数を伸ばしていることにより、新規登録数が特に多くなっています。

管理団体に所属する講習団体数と割合

登録されているドローンの各講習団体は管理団体と呼ばれる団体(傘下の講習団体の指導・監督を行う機関)に所属しています。国土交通省に登録されている管理団体は2022年11月時点で90団体です。

しかし、大規模な管理団体と小規模な管理団体とでは所属する講習団体の数に開きがあり、上位6つの管理団体に所属する講習団体だけで全体の半数超(51.7%)を占めている状況です。

【所属講習団体数が多い上位6団体について】

▼1位:DJI JAPAN系列(エアロエントリー)
世界最大手ドローンメーカーであるDJI社の知名度が圧倒的に高いこと、DJI社製の機体を扱う代理店が多いためDJI傘下となるという選択肢が上がってきやすいことなどが影響していると考えられます。
※DJI社の日本法人であるDJI JAPANが自社製品ユーザーを対象に行っていた講習「DJI CAMP」の運営が2015年よりエアロエントリーに移っているため、DJI JAPANとエアロエントリーを「DJI JAPAN系列(エアロエントリー)」としてまとめられています。

▼2位タイ:JUIDA
JUIDAは、多くの団体や企業が参加する産学連携による管理団体です。今回の算出方法では2位となりましたが、1位のDJI JAPAN系列をDJI JAPANとエアロエントリーに分割した場合では、その順位は逆転します。
また、管理団体として古参の部類であり、「ドローンスクールといえばJUIDA」というほどのメジャーな存在のため、ドローンスクールの受講者目線では1位のDJI JAPAN系列をしのぐ認知度といえるかもしれません。

▼2位タイ:DPCA
DPCAは、ドローン空撮事業をメインとする団体ですが、災害時のドローン運用の在り方の研究・実証にも注力しています。
災害発生時のドローンを有効活用できる人材の育成や安全講習を実施するRUSEA(地域再生・防災ドローン利活用推進協会)に参画している関係上、全国の同団体支部が講習団体となっています。ただし、そうした講習団体は必ずしもスクールとしての営業を行っているとは限らないため、登録されている講習団体の数は多いものの、外向けにドローン講習を行ういわゆるドローンスクールの数は、JUIDAと比べると少ない印象です。

▼4位:農林水産航空協会
同団体が管理団体となる前から、多くの農機具販売店が同団体提供カリキュラムに沿って農業用ドローンの操縦方法を顧客に教えてきており、そうした販売店が今は所属講習団体となっているという事情がランクインの理由と考えられます。なお、直近の新規登録数はあまり伸びていない状況です。

▼5位:ドローン検定協会
数あるドローン関連の民間資格(各管理団体が修了生に対し独自に付与する資格)のうちでも認定者数が最多といわれる「ドローン検定」を実施する管理団体であることが、所属講習団体の多さにつながっていると考えられます。

▼6位:日本ドローンビジネスサポート協会
ビジネス活用を目的とした実践的なドローン運用スキルの習得をサポートする管理団体です。
同管理団体では、ドローンビジネス参入希望者を対象にFC(フランチャイズ)ビジネスも行っており、全国各地のFC加盟店とのネットワークを活かし、ドローンを使ったサービス(空撮・測量・点検・散布等)を実際に行っています。そのように現場を知る事業者のノウハウに対する期待が所属講習団体数に表れていると考えられます。

直近2年間の新規登録講習団体数

直近2年間に新規登録のあった講習団体の数を管理団体別に見てみると、上位3団体は所属講習団体数のトップ3と完全に一致しており、もともと多くの講習団体を抱える管理団体が引き続きその数を増やしている状況がわかります。

しかし同時に、認定管理団体として登録されたのが2年前のFlight PILOTが5位、1年半前の日本マルチコプター協会が6位と、管理団体としては比較的まだ日が浅い機関の躍進も見られます。

▼5位のFlight PILOTについて
Flight PILOTは、姿勢制御技術に強みを持ち、運航管理システム(UTM)や機体制御OSも開発する長崎県佐世保市の企業です。同じ九州の佐賀県多久市や福岡県福岡市で実証実験が進められている「空の道」(上空をドローンが飛行することに対する承諾を所有者から得ている土地をつなげてドローンの飛行経路とするもの)の構想などが追い風となっているとも考えられます。

▼6位の日本マルチコプター協会について
日本マルチコプター協会は、ドローンスクール運営だけでなく、地域活性化を目的としたドローンレースの開催や、ドローンの自律飛行に欠かせないプログラミングの学習機会を子どもたちに提供する事業なども行っています。こうした幅広い活動が所属講習団体の増加につながっている可能性が考えられます。

一方、所属講習団体数は全管理団体中4位と多い農林水産航空協会ですが、ここ2年間の新規登録は7校とあまり伸びていません。農業散布時の飛行申請を代行できる唯一の機関として同協会を定めていた技術指導指針(農林水産省通知)が令和元年7月30日付で廃止、併せて「農業用ドローンは同協会による認定が必須」との認識は誤解であることが国から周知されました。農林水産航空協会の立場を変えたこうした出来事が新規登録数に影響していると推測されます。

現講習団体が登録講習機関になるには

操縦ライセンスの国家資格化が盛り込まれた2022年12月5日施行の改正航空法には、登録講習機関(国家資格取得に必要な一定水準以上の講習を実施する機関として登録された組織)の制度新設も盛り込まれています。

現状国土交通省に認定されている講習団体は、あくまで国家制度開始前の「ドローンの民間資格制度」における登録期間です。

そのため制度開始後は、現時点で登録されている講習団体がそのまま登録講習機関となるわけではなく、規定の大きさの実習空域や一定以上の飛行実績を有する講師の確保などの要件を満たした機関のみが、登録講習機関として認定されます。

事前登録申請の受付が2022年9月5日より始まっていますが、登録状況次第では今後のドローンスクール数や管理団体の勢力図が大きく変わってくるかもしれません。ドローンとドローンスクール業界を取り巻く環境が大きく変わろうとしている今、引き続き動向を注視していく必要があるでしょう。

出典:ドローンナビゲーター

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