2022年3月8日、山口県美祢市(市長:篠田 洋司)と、セイノーホールディングス株式会社(本社:岐阜県大垣市、代表取締役社長:田口 義隆、以下:セイノーHD)、株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:田路 圭輔、以下:エアロネクスト)、株式会社NEXT DELIVERY(本社:山梨県小菅村、代表取締役:田路 圭輔、以下:NEXT DELIVERY)は、3月3日~3月5日に美祢市秋芳町嘉万・八代地区において、地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けたドローン配送実証実験を実施し、報道関係者に公開したことを発表しました。
本実証実験は、官民連携フォーラム「デジテック for YAMAGUCHI」の会員同士が技術やノウハウ等を持ち寄り、山口県内をフィールドとした実証実験等を行い、新たなソリューションなどの先導的事例の創出を目指す「デジテック・オープンイノベーション」に提案し採択された取り組みとして実施されました。
具体的には、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHub®(※1)の社会実装に向けて実施するもので、実施はドローン配送サービス事業を主体とするエアロネクストの子会社、NEXT DELIVERYが行います。
※1 SkyHub®︎は、エアロネクストとセイノーHDが共同で開発し展開する、既存物流とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流の仕組みです。ドローン配送が組み込まれた、オープンプラットフォームかつ標準化した仕組みで、ドローンデポ®︎を拠点に、SkyHub®アプリをベースにした配達代行、オンデマンド配送、医薬品配送、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送などのサービスを提供します。SkyHubの導入は、無人化、無在庫化を促進し、ラストワンマイルの配送効率の改善という物流面でのメリットだけでなく、新たな物流インフラの導入であり、物流改革という側面から人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げることが可能になり、地域活性化を推進するうえでも有意義なものと言えます。
【実証実験概要】
背景と目的
美祢市では、小規模な集落が広く点在しており、商店や飲食店も少なく、また人口の約44%を高齢者が占めるなどの理由で、日常の買い物など生活利便性の維持が求められています。また、運送業界においては、人手不足や採算性から特に過疎地域における配送維持が課題となりつつあります。そこで、物流の最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結、融合する新スマート物流システムの導入により、買い物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みをつくり、課題の解決を目指す実証実験に、民間企業と行政が協働して取り組みます。
実施内容
秋芳八代ぬくもりの里を仮設のドローンデポとし、最寄りの集会所(栢木公会堂・八代ふれあいセンター・半田公会堂)を仮設のドローンスタンドとしてドローン配送を実施し、地元住民に市内スーパーの食料品の詰め合わせセット、日用品、また防災用品等をお届けしました。
3月3日の報道関係者への公開では、まず秋芳八代ぬくもりの里を仮設のドローンデポとし、片道約2.1km先の半田弁天へ向けてドローンを約5分で飛行し、そのドローンに住民がペットボトルに採水した、名水で有名な半田弁天湧水を積み込み、秋芳八代ぬくもりの里まで飛行して持ち帰りました。その後秋芳八代ぬくもりの里にて待機したキッチンカーにて、持ち帰った名水で淹れたコーヒーと、日本名水百選-別府弁天池-の名水で育ったニジマスを使った、「ますバーガー」のセット2名分を箱に入れ、仮設のドローンスタンドの一つである栢木公会堂まで、片道約1.2kmを約3分でドローン配送し、住民の手に届けられました。名水で淹れたできたての熱々のコーヒーと、ますバーガーに感動と喜びの声があがりました。
今後は、過疎地域の課題解決を目指す新スマート物流の構築に向け、住民に対するニーズ調査や最適な物流網を調査検討したうえで、将来的な構想として各社荷物等を集約化するドローンデポとドローンの着陸地点となる複数のドローンスタンドを設置し、地上配送と将来のドローン配送を想定した買物代行サービスについて段階的に開始する予定です。
出典:株式会社エアロネクスト「山口県美祢市で過疎地域の課題解決を目指す新スマート物流の構築に向けたドローン物流実証実験を実施」