2022年8月31日、「空飛ぶクルマ」および「物流ドローン」を開発する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO:福澤 知浩、以下:SkyDrive)と、中電工業株式会社(本社:広島県広島市、代表取締役社長:石井 浩一、以下:中電工業)は、今般、中国電力ネットワーク株式会社が保有する送電鉄塔の塗装工事において、1.6トン(送電鉄塔3基分)の塗料をドローンで運搬したことを発表しました。過酷な山間部の送電鉄塔工事での労働環境改善・安全性の向上に向けて、下記にある実証実験を経て、物流ドローン「SkyLift」の導入を開始しました。
実施内容
これまで、現場で物流ドローン「SkyLift」を導入するべく、中電工業とSkyDriveで飛行試験を重ねていました。今回、下記の通り飛行試験を実施しました。
日程 | 2022年7月26日(火)~8月10日(水)のうち5日間 |
場所 | 中電工業の送電鉄塔塗装工事現場 |
運搬物 | 送電鉄塔塗装工事で使用する塗料(一斗缶) |
総フライト数 | 総フライト数:102フライト 総運搬重量:約1,600kg 日数:5日間 |
※フライト数や運搬重量は、天候や飛行条件・環境によって変動します。
導入の目的
電力会社では、送電鉄塔の塗装工事の際には、工具や塗料などの資機材を小型トラック等により運搬しています。しかし、送電鉄塔の7割程度が山間部に立地していて、山間部の現場は車両の通行が難しいため、ほとんどのケースは、作業員自らが山道を複数回往復し資機材を運搬しています。中電工業が送電鉄塔塗装工事で使用する塗料物量は年間で約100,000kgにもなります。
中電工業では、SkyDriveの物流ドローン「SkyLift」を山地の送電設備メンテナンス工事に活用することで、作業員が重い荷物を背負って、道なき道を昇り降りするという過酷な労働環境の改善や、厳しい環境下での安全確保、運搬人工の削減などの効率化を実現できると考え、今回の導入に至りました。
「SkyLift」選定の理由
中電工業の石井社長、工事本部(塗装)花田氏の選定理由は以下の通りです。
- 最大30kgの資機材を運搬可能である
- オリジナルのカーゴバッグは航空局から塗料やガソリン等の危険物輸送の飛行許可を取得している
- 導入後に機体の不具合や故障といった問題が発生するリスクを想定されるが、サブスクリプションモデルのため、故障の際は機体の交換や最新型への変更が容易である
- カスタマーサクセスの体制が万全である
- フェールセーフのもと開発が行われ、安全性にも十分配慮されている設計である

これまでの取り組み
物流ドローン「SkyLift」の実用化を目指し、中電工業とSkyDriveで電磁波の影響試験・実証実験等を重ねてきました。
実証実験:4回実施(中国電力株式会社南原研修所1回、高梁有漢線2回、新広島幹線1回)




今後について
今後、中電工業は自社運搬を目指し、中電工業とSkyDriveと協議の上、自社運搬に向けた課題(安全性、作業性、操作性、経済性、オペレーターの適性判断)の整理と解決、物流ドローンを操縦できるオペレーターの育成を図っていくとのことです。
課題解決のために、具体的には以下を行う予定です。
- 中電工業の自社内のオペレーター育成のため、2022年10月を目途に難易度を上げた教育プログラムを実施予定。2022年12月を目途にSkyDriveの取り決めた必要スキルを習得し、2023年度に自社運搬を本格運用
- 1日あたりの運搬物量の向上
- 使用頻度の向上(可能な限り導入できるようにするための体制を構築)
- トータルコストの低減(費用対効果を高める)
また、中電工業は今後は以下を目指します。
- 中電工業が塗装工事を施工している全国の電力会社向けに展開
- 将来的には他社送電工事に関係する運搬も担う
- 火力、水力発電所および電力関係以外のインフラ塗装工事においても活用
- 自社の業務効率化だけでなく、この技術を生かした地域社会への貢献という視点で取り組みを展開
出典:株式会社SkyDrive「物流ドローン『SkyLift』が、中電工業の送電鉄塔工事で1.6トンの塗料運搬 ~過酷な工事現場、ドローン導入で労働環境改善・担い手確保へ~」