オーストラリアの世界自然保護基金(WWF)は、山火事の影響で減少したコアラの個体数を戻すため、ドローンを活用したプロジェクトを実施しています。
このプロジェクトでは、ドローンサービス会社Dendra Systemsのドローンが山火事の発生した場所に種子を撒いています。種子から成長した木々は、コアラの食料や生活の場となり、コアラの生活環境を整えることに繋がります。
対象地域は、オーストラリアのブリスベンの西部にある11,268エーカーの土地です。この土地は2019年から2020年に壊滅的な山火事が発生しており、4,700万エーカーの土地が燃えました。
なお、プロジェクトにはオーストラリア政府やその他パートナーが出資を行なっており、総金額は1,290万ドルに及びます。
オーストラリアの世界自然保護基金のプロジェクトマネージャーTanya Pritchar氏は、次のように述べています。
「コアラの個体数は過去20年で減少の一途を辿っており、一部の地域では60%以上の個体数が減少しています。私たちは、2050年までにコアラの個体数を2倍にするという目標を掲げています。この大きな目標を達成するためには、コアラの生活環境を効率的かつ早急に作り上げる必要があります。そのためにドローンは最適な方法です。」

Dendra Systemsのドローンは、コアラの好物であるユーカリの木など40種類の植物や樹木の種子を撒いています。広大な土地に自動で種子を撒くドローンは、人間の手作業では不可能な効率化を達成します。
Dendra Systemsの共同創設者兼CEOのSusan Graham氏は、次のように述べています。
「私たちのドローンは、1機が1日に約750キロの種子を撒くことができます。これは2匹のホッキョクグマの体重でもあります。そして、これらドローンは群れをなして飛ぶことができ、実際には毎日最大1.6トンの種子を撒くことが可能です。これは荒れた大地に生態系を育むために必要な大規模なアプローチであると言えます。」
Dendra Systemsは、今後4年間で約50,000エーカーに種子を巻き続ける予定です。この活動により、山火事の影響で死んだ約30億頭の動物が育める環境を作っていきます。コアラの数は増えるのか、今後の活動にも注目です。