スウェーデンにて、AED搭載ドローンの運用実験

スウェーデンにて、AED搭載ドローンの運用実験

AED(自動体外式除細動器)を搭載したドローンが人命を救うかもしれません。

スウェーデンでは、AEDを搭載したドローンによる人命救助の実験が実施されました。理論上、ドローンが空を飛んで駆けつけることができれば、車道を走る救急車よりも早く現場に到着することができます。心停止では、この僅かな時間の差が生死や今後の患者の生活クオリティを分ける場合があります。

実験の責任者であるKarolinska University Hospital(カロリンスカ大学病院)のSofia Schierbeck(ソフィア・シエルベック)博士は、次のように述べています。

「今回の実験では、ドローンは救急車よりも約2分早く、心停止した患者の元に着陸することができました。ドローンの技術が向上すれば、この2分の時間はさらに短くなるでしょう。今回の2分という時間は、侮っていいものでありません。120秒の時間は、生き残った患者が今後生活を送る上での質にも影響します。状況によっては、この時間が生死を分けることもあるのです。私たちは、AED搭載ドローンが今後多くの患者を救うと信じています。」

この実験は、スウェーデンの港湾都市ヨーテボリにあるゴーセンバーグで行われました。地元空港から半径5km以内の場所に3つのドローンチームをそれぞれ異なる場所に配属します。そして、心停止の電話が掛かり、救急車とAED搭載ドローンが現場へ駆け付けるというものです。なお、ドローンの操縦は完全自動操縦であり、連絡のあった住所まで飛行し、上空100フィートでホバリングして着陸します。

実験の結果、ドローンは92%の確率で患者の元へ駆け付けることができました。そして、中央値で1分52秒(約2分)のリードを救急車から得ることができました。しかし、改善点はいくつもあります。自動飛行のため、そもそも現場へ上手く駆け付けることができない場合がありました。また、雨や風、冬の気温など様々な気象条件に対応できるようになる必要もあります。

現在、心臓発作を治療するための医学的な進歩は続いていますが、先進国の全死亡の20%は心臓発作が原因であり、死亡率は依然として約90%あるとのことです。AED搭載ドローンは、この統計の数字を大きく減らす可能性を秘めています。

出典:DroneDJ「Swedish drone trial rushes defibrillators to heart attack victims faster

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