2020年12月8日、小野塚精機株式会社は、日本製鉄製の高速回転モータ用電磁鋼板を使用した大型輸送ドローン用高効率モータを開発し、50kgの貨物を積載したドローンの飛行に成功しました。
同社はこの大型輸送ドローン向けモータを開発するにあたり、高パワーのモータを実現する手法として、多極高速回転化する手法を採用しました。開発では複数種の電磁鋼板を実際にモータに組み込み、効率・特性を評価し、鉄損と飽和磁束密度のバランスから、日本製鉄製の電磁鋼板を採用しました。また、製造時にはこれを効率的に積層し、モータを完成させたとのことです。
同モータには、EV(エコラン・ソーラーカー)で培った技術が応用されており、従来の大型ドローン用モータと比べ高効率・低発熱で、夏季の高温下での運用に耐えることができます。また、モータ・ESCを2重冗長にすることで、大型輸送ドローンに求められる故障時の信頼性にも配慮したとのことです。駆動系の制御特性を大型輸送ドローン用に最適化した結果、これまで空荷時・積載時にそれぞれ必要であった制御系のパラメータ調整が不要になったと言います。
同モータの制作にあたっては、機体製作として有限会社五百部商事、試験・評価として株式会社ロックガレッジら各ドローンの専門家が監修を行い開発を進めてきました。
今後、大型ドローンの活用を検討している企業向けにカスタムモータの提供から駆動系・機体制御のインテグレーションに対応するとのことです。なお、カスタムモータ・ESC開発は50万円/セット~となっています。
モータの諸元は、以下の通りです。
モータ寸法(外径) | Φ200 |
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重量 | 2kg |
出力 | 4kW/3,600rpm |
最高効率 | 90% |
ドローン本体の諸元は、以下の通りです。
寸法 | 1,600×1,600×700H(mm) |
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ロータ間距離 | 1,400mm |
ロータ直径 | 1,000mm |
ペイロード | 49kg |
バッテリー | 東芝SCiB |
出典元:小野塚精機株式会社「大型輸送ドローンのテスト飛行に成功!」