2020年8月4日、中国の高高度飛行ドローン「Wing Loong-10」が、台風検出テストを成功したと発表されました。
この発表は「Wing Loong-10」を製造している中国の会社Chengdu Aircraft Industrial (Group) Co LtdのWeChatアカウントより行われました。Chengdu Aircraft Industrial (Group) Co Ltdは、国営の中国航空産業公社(AVIC)の傘下にある企業です。
この実験は、8月2日に中国南部の海南省を台風が襲った日に実施され、海南省にあるQionghai Bo’ao空港から離陸した「Wing Loong-10」は、高度10,000メートルまで上昇、台風に関する情報を多次元スキャン、画像を精製しました。この情報から、台風の発生を予期できるとのことです。
元々「Wing Loong-10」は武装偵察などの軍事作戦ができるドローンでしたが、今回の実験で台風などの極端な気象条件下でも性能を発揮できることも証明されました。
「Wing Loong-10」は中国だけでなく、ナイジェリアや中東の様々な国で使用されています。飛行時間は20時間、最大飛行高度は16,000フィート、最高速度は時速180マイルです。今回は台風の中をフライトするため、実験のために製造された特別なジェットエンジンを搭載しました。今後、実験を重ねていき、他の国へジェットエンジンや技術の販売をしていくとのことです。
中国では、毎年台風被害により295億元(約4,483億円)の経済的な損失が発生しています。そのため、中国政府も台風検知には投資を行っていました。今回の実験で台風を予測できることが分かり、今後は事前に台風に備えることで、損失を減らせると期待されています。
出典元:GLOBAL TIMES「Wing Loong-10 drone makes typhoon detection debut」