2020年6月4日、ドイツのミュンヘンにあるドローン会社quantum systemsは、同社の医療用の配達ドローンを用いた配送テストを行いました。
配送テストは無事に成功し、ドローンは4マイル(約6.4km)の距離を7分程度で飛び、20本の試験管を配達しました。
4マイルと聞くと大した距離ではありませんが、この辺りは交通状況が悪いため、通常は車で1時間以上の時間が必要になります。
このテストに用いられたドローン「Trinity F90+」の最大飛行時間は60分、最大飛行距離は70km、1回のフライトで20本の試験管を運ぶことができます。
テストの様子は、quantum systemsの公式Youtubeチャンネルより公開されています。
一見すると飛行機のような形状のドローンのため滑走路が必要かと思いますが、ドローンは専用のアームから垂直にホバリングを開始し、自由自在にフライトできます。
quantum systemsは2016年に設立された会社ではありますが、南アフリカ国立血液サービス(South African National Blood Service/SANBS)のドローンで血液を輸送する「ブラッドウィングプロジェクト」に関わっています。
※SANBSは、輸血用の血液を提供する非営利団体です。
通常、薬品や血液のドローン配送は、通常のドローン配送に比べてより一層の配慮が必要になります。
衛生面のケア、変質しない温度を保てる環境、万が一に備えた完璧な追跡、特定の人物のみが箱を開けられる機密性などが求められます。
しかし、quantum systemsの「Trinity F90+」は、現状ではこの条件を完全に満たしています。
今後、「Trinity F90+」のさらなる進化により、血液は車よりも早く目的地に届き、従来では助からなかった命が救われることになるでしょう。