2020年5月29日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と経済産業省は、無人航空機(ドローンなど)による目視外・第三者上空飛行の実現に向け、「無人航空機性能評価手順書」を公表しました。
「無人航空機性能評価手順書」は、無人航空機が目視外・第三者上空飛行をするための安全性・信頼性の性能評価基準を設け、試験方法、試験施設・設備・機器を取りまとめた手順書になります。
このような手順書の公表は、国内初となります。
経済産業省 | 第三者上空飛行のための無人航空機の性能評価手順書を開発しました
なお、手順書の作成には株式会社自動制御システム研究所、イームズロボティクス株式会社、株式会社プロドローンのドローン(以下画像)が使用されました。
この手順書の公開により、無人航空機の性能を統一的に評価することが可能になり、機体性能目標の設定、無人航空機の運用の検討材料が明確化しました。
また、2020年3月に全面開所した福島ロボットテストフィールドでは、手順書に関する試験施設が整備されており、評価試験などを実施することが可能です。
今後、NEDOは経済産業省とともに、福島ロボットテストフィールドの利用を促進するなど、手順書の普及に努め、物流、災害対応などの分野で無人航空機活用の加速に貢献していくとのことです。
この背景には、2019年6月に改訂された「空の産業革命に向けたロードマップ2019」の存在があります。
経済産業省 | 空の産業革命に向けたロードマップ2019.pptx
「空の産業革命に向けたロードマップ2019」では、飛行させる空域や方法に応じて飛行レベル1~4を定義しています。
2019年度には無人地帯での目視外飛行(レベル3)の利活用の本格化、2022年度以降には有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(レベル4)の利活用を本格化させる予定としています。
実際2018年3月には、レベル3の実現に向け「無人航空機の目視外飛行に関する要件」が取りまとめられており、今後「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」に反映される見込みです。
そして、レベル4の実現に向け、目視外・第三者上空飛行の要件が検討されたのです。
無人航空機性能評価手順書の内容
「無人航空機性能評価手順書」は、「目視内及び目視外飛行編」、「第三者上空飛行編」、「長距離飛行ミッション編」の3つで構成されています。
なお、「長距離飛行ミッション編」に関しては、今後増加が予想される無人航空機の長距離飛行で必要な性能項目や性能評価手順を策定するため、他2つの手順書より適宜引用する形式で構成されています。
「目視内及び目視外飛行編」では、物流、災害調査に共通な無人航空機の性能評価項目について、性能評価基準や性能評価手順を定めています。詳しくは、経済産業省の公開しているこちらの資料をご覧ください。
経済産業省 | 無人航空機性能評価手順書 目視内及び目視外飛行編.pdf
「第三者上空飛行編」では、第三者上空飛行に関する性能項目について、性能評価基準や性能評価手順を定めています。詳しくは、経済産業省の公開しているこちらの資料をご覧ください。
経済産業省 | 無人航空機性能評価手順書 第三者上空飛行編.pdf
「長距離飛行ミッション編」では、長距離飛行ミッションに関する性能項目について、福島ロボットテストフィールドの南相馬滑走路から浪江滑走路間における長距離飛行での検証に活用できる無人航空機の性能評価手順を定めています。詳しくは、経済産業省の公開しているこちらの資料をご覧ください。
経済産業省 | 無人航空機性能評価手順書 長距離飛行ミッション編.pdf
出典元:国立研究開発法人
新エネルギー・産業技術総合開発機構「第三者上空飛行のための無人航空機の性能評価手順書を公表 ―福島ロボットテストフィールドにおける試験で活用可能―」