株式会社プロドローン(PRODRONE)と東京大学 生産技術研究所 海中観測実装工学研究センターの横田裕輔 講師は、新たなドローンを開発しました。
開発されたドローンは2種類あり、ひとつは海中観測を目的としたドローン、もうひとつは海底観測を目的としたドローンです。
専用のドローンを開発することで、観測の効率化・高速化を目指しています。
海中観測用ドローン
海中観測用ドローンは、海洋場を計測するための機器を搭載しており、それを投下することができます。
この計測器は自動で観測地点まで40km/h以上で往復することができ、観測者が好きなタイミングでタブレットやリモコンから観測スイッチを押すことができるように設計されています。
投下の動画がYoutubeに公開されていますので、ご覧ください。
この実験は、5m/s以上の風と雨の悪天候下でしたが、予定していた15分おきの同一地点を繰り返し観測が成功、データの取得にも成功しました。
今後、この観測技術が港湾・養殖場等における海洋把握の高速化・簡便化を可能とするでしょう。
それだけでなく、船舶から利用すれば遠洋域でも複数点の海洋場を把握できるようになる他、kmスケールの海洋構造把握、海洋音響工学の精度向上に利用可能です。
この実験により、海中観測用ドローンは既に実用可能段階に達していることが分かったため、今後は社会実装に向けて機能面、運用面での検討を進めていくとのことです。
海底観測用ドローン
海底観測用ドローンは、ドローンが海面に着水することでブイとしても機能し、悪環境下でも正確な海底観測ができます。
ドローンには2周波GNSS受信機・アンテナが搭載されており、精密衛星測位による位置決定が可能です。
実際に海面に着水している動画がYoutubeに公開されています。
この実験も悪天候下で行われましたが、海面・海中・海底観測に求められる海面保持性能とデータの取得に成功しました。
この実験により、精密音響機器を搭載したプラットフォーム側の精密位置決定が可能だと分かり、海底地形調査・地殻変動調査などへ応用できる可能性の扉を開けました。
このドローンによる海洋観測プラットフォームは、通常の船舶を利用する型式よりも遥かにコストが安く済みます。
また、価格面だけでなく、即時性・機動性という点においても優れており、今後はこちらがスタンダードになっていく可能性を秘めています。
今後、沿岸波浪、沿岸海水採取、海洋プラスチックごみの把握など、様々な状況下で使用されていくでしょう。
そのため、機体性能や動力源などの研究・開発について検討していくとのことです。
出典元:PRODRONE公式ホームページ